中山隧道(初代)  なかやま 旧県道西郷五箇中村線
島根県隠岐郡隠岐の島町
延長 -m  
幅員 -m  
竣工 1896年  
国道485号五箇トンネルのはるか頭上を越えていた二代目中山隧道から程近く,地形的には,谷を詰めきったと思しきあたりを穿っている。緑色の凝灰岩の岩壁をそのまま残す,美しい隧道だ。

比較的最近まで県道として使用されていた福浦隧道などと違って少なくとも70年前にはすでに「旧道」というよりはおそらく「廃道」と化していたこの貴重な隧道が,奥深い山の中にこんなきれいな形で残っていることは奇跡に近いといわねばならないと同時に,感謝しなければならないだろう。
二代目中山隧道からさらに山奥へと続くきれいに舗装された林道を200mも進むだろうか,右手斜面にガードパイプつきの階段が見えてくる。そして,階段の途切れるところに,明治に建設されてそのままと思われる隧道が顔をのぞかせているのが林道からでも確認できる。

林道建設時に,現役の道として(町道?)台帳に残っていたため階段がつけられたのか,それとも文化遺産として観光資源化しようと考えたものなのかは不明だが,まるで,トンネル使うから作ったんだよといわんばかりに,ごく当たり前のように階段は隧道入り口へと通じている。
内部は緑色の凝灰岩に穿たれた鑿の跡もそのままに残っている。形状はほぼ矩形といってよいだろう。二代目福浦隧道とよりは多少丸みを帯びているだろうか。幅は,2間くらいもあるだろう結構広く取ってある。

ただし,床面には厚く砂礫が積もっている。風化して崩れたものではなくトンネルの向こう側から流れて来ているようだ。

隧道の反対側(旧西郷町側)の切通が崩落していて雨水がすべて砂礫や岩片とともに隧道内へ流れ込んできているようだ。水流の跡が床にはっきり残っている。
西郷側坑口は,崩落が進んでいる。ただし,トンネル坑口上部もであるが,急カーブで深い切通しとなっているその岩壁の風化崩落が激しい。

また,西郷側への道は歴史を感じさせるものではあるものの,どこまで歩ける状態であるのかは不明だ。時間があれば歩いてみたかったのだが。

また,五箇側の旧道も完全に藪に帰っている。70年前にメインルートから外れた旧道であるから当然といえば当然である。

しかし,いつか歩いてみたい古道だった。
位置

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