宇部興産伊佐セメント工場 2

このセメント工場は,石灰石の採掘場跡地に建設されたもので,宿場町であった伊佐の町から小さな川を挟んで北側に位置している。

宇部興産として石灰石の採掘を開始したのは,戦後昭和21年からであるが,戦前にも採掘が行われていたようで,その跡地に工場は建っている。

かつて,公害問題などが無視されていた時代には発破でとばされた岩石が民家の屋根へ降ってきたり,粉塵で屋根が真っ白になる状態だったという。

(もちろん現在ではそのようなことはない。また,伊佐の街中には騒音計がいくつか設置されている。)


ダブルストレーラーがクリンカーの積み込みを行っている。

石灰石,粘土,珪石,鉄原料+原料廃棄物(火力発電所石炭灰,RDF等,鉄鋼スラグ,一般廃棄物焼却灰,下水処理汚泥など)を混ぜて粉末化し,ロータリーキルンで焼成してクリンカー(セメント原料となる半製品)を製造する。そこまでが伊佐工場の仕事である。

石灰岩を採掘するときに一緒についてくる土や粘土もセメントにしてしまえるし,自家発電用の灰や一般,産業廃棄物の受入も行われているとのことで,特に一般廃棄物焼却灰を受け入れてセメント原料に使えるというのは,各地で最終処分地の延命や新規建設に苦労している自治体にとっても,住民にとっても非常に価値のあることと思う。今後,受け入れ量を拡大していく計画もあるようだ。




宇部伊佐鉱山

続いて,工場の裏手にある石灰岩採掘場(宇部伊佐鉱山)へと向かう。

石灰岩を運んできた60トンダンプ。地上にあいている大きな穴からベルトコンベアーに向けて一気に石灰石を落とす。ここで一次(二次?)破砕される。

採掘場からの出口には自動洗車機が設置してあり,出入りする車はすべてきれいに粉塵を洗い流される。見学者用のバスの場合は自動とはいかないが,係員によって手動で水をかけられてきれいに洗われた。

伊佐地区には,採鉱場が3箇所あり最も遠いものは3キロ以上工場から離れている。そのため,地下にベルトコンベアーが設置してあり,その制御は一箇所で集中して行われている。


ベンチカットで1段の高さは約10mであるから,深さは推定できるであろう。なお,深さでいうともっとすごいところにも行った事がある。

▼青森県の住友鉱業八戸鉱山−日本で一番深い場所 海抜−180m 対岸に見える段の最上部につけ替えられた川が通っている。

採掘場は奥にも2箇所あり,60トンダンプが埃っぽい未舗装(あたりまえ)の広い道を轟音を立てて走ってくる。
片側が高い崖になっているため,まるでカイバー峠とかそういった乾燥地帯の峠のようだ。
爆薬を入れる穴を掘っている。トンネル掘削と一緒ですね。
▼遠隔操作で詰まった石を粉砕する。
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