伊佐セメント工場専用線 → 伊佐市街地

現在では,1往復/日だけあるという貨物列車。中国電力三隅発電所で発生した石炭灰(フライアッシュ)をこの伊佐工場に運んできて,炭酸カルシウム(石灰石)を積んで帰る。(ちなみにルートは山陰本線岡見駅−益田−新山口−厚狭−美祢−伊佐)


▲美祢駅からの専用線は建設当初は馬車鉄道であった。

▲現在では使用されていない小さなガーダー橋。

その後,地元の饅頭屋さんのご店主に伊佐の町を案内していただく。地元の方だけあって,小さなエピソードまで交えて楽しく説明していただいた。

▼お寺の門前にある江戸時代に作られた小さな石橋
▼旧伊佐郵便局





宇部興産道路(宇部・美祢高速道路)

昼食後いよいよ,本日のメインイベント(私にとって)である宇部興産道路の通行である。
工場の中からのスタートではなく(ちょっと残念),国道436号との交点にあるランプから入っていく。

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ここからは,動画でご覧いただくのが一番かと思うが,ちょっとファイルサイズが大きいのと一番前に座ったとはいいながら前面窓を占領するというわけにも行かず,画面すべてが道路というわけではないことはご容赦いただきたい。

←宇部興産道路走行動画 127MB

一時停止して,轟音を立ててトレーラーが走っている専用道路に入り,伊佐隧道へ向けて登る傾斜にてこずり,ゆっくりと前を走っているダブルストレーラーを追い越していく。

坂を上りきったところが,伊佐隧道である。午後の南向き走行となったため逆光となり写真としては今ひとつとなってしまったが。

▼伊佐隧道(美祢口)
▼伊佐隧道(宇部口)

ここで,走行中の写真とともに,今回のツアーで仕入れた宇部興産道路豆知識を。

興産道路豆知識 1
セメンと製造の際に調合する粘土として過去には石炭を採掘した際に生じるボタを使用していた。その後,炭鉱の閉鎖により山粘土を利用することとなって粘土山を購入していた。粘土山の立地としては宇部と伊佐の工場の間に位置することが便利であるため,購入した土地は必然的に伊佐と宇部を結ぶ線上にあり,その線に沿って道路建設を行うことにより用地買収の費用や手間が省けた。

興産道路豆知識 2
美祢線で機関車の脱線事故があり(そのときに脱線したD51蒸気機関車は常磐公園に静態保存してある。)復旧に多大な時間と費用を要した経験も,道路建設に向けた理由付けとなった。

興産道路豆知識 3
専用道路完成後も,美祢線の廃止を防ぐ要請が地域からあったため,鉄道輸送も一部併用してきた。しかし,島根県の三隅発電所との間で廃棄物輸送を鉄道で行うこととなったため,1998年に石灰石の鉄道輸送は廃止した。(過去の石灰岩輸送の実績により美祢線は地方交通線ではなく幹線扱い)

興産道路豆知識 4
ベルトコンベアーでは伊佐から宇部への一方通行となるほか,クリンカー,石灰石,燃料用石炭など多種の貨物を運搬には対応できないため専用道路を建設した。また,宇部に工場を集約することは,伊佐がただの原料供給基地(一方的に物資が出て行くだけ)となってしまうため,企業理念(地域貢献)の一部として(社長が美祢出身ということももちろんあったろうけれども)伊佐に工場を置くことになった。

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