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仏坂隧道(序) 
山口県には,明治時代に行われた県道開鑿,改修の際に3箇所の隧道が建設された。
◇明治18年 鹿背隧道 182m 現役 国登録文化財 近代土木遺産Aランク
◇明治20年 佐波山洞道 515m 改修 現国道262号
◇明治21年 榎谷洞道 113m 保存 近代土木遺産Aランク

この3本の隧道は,現役であったり,本体や扁額が保存されていたりする(ので,比較的知名度は高いと思われるが,もうひとつ,この3本の県道隧道に先駆けて建設された隧道がとある峠にひっそりと残っている。

仏坂隧道00 
山口県某所に,明治16年に完成したという素掘り隧道が残っています。

馬は谷に落ちて斃れ,人は難儀したという裏街道の峠に,明治初年に地元の出資で建設されたという隧道です。

現在は高速道路がすぐそばを走り,そのため廃道となっていますが,隧道そのものは一部の崩落と出水期に一部が50センチほど水没するほかはいたって元気であることがわかりました。

仏坂隧道01 
この写真は下流側の入り口です。古びた石仏がここがかつて街道筋であったことの記憶をとどめている。

奥には一軒だけ人家があり,隧道のことを聞いてみたのですが,藪になっていて道もないとのことでした。反対側からなら車で入れると思うとのことでしたので,回りました。

仏坂隧道02 
下流側の入り口です。人家の先で道にはイノシシよけでしょうか,柵がしてありました。田圃は作られていましたので,里道扱いなのか,すでに地元農家が払い下げを受けているものでしょうか。

こちらからでも,地主さんの許可を得れば藪漕ぎ覚悟でアプローチできるものと思います。しかし,簡単にルートを見失いそうです。

仏坂隧道03 
これは峠を越えて反対側にある美東町の盆地からのアプローチです。高速道路に沿って入っていきます。秋口に訪問したときは,高速道路の下をくぐるボックスの地点までしか車では入れませんでした。田んぼもきれいに作られています。ここからだと,隧道までは500mぐらいでしょうか。

冬に再訪した際にはさらに300mほどは草刈りが(多分ネクスコの管理人さん?)のおかげでしょうかしてありまして,高速のトンネル入り口まで乗り入れが可能でした。

仏坂隧道04 

そこから先隧道までの200mほどの区間は幅は十分ありますがかなりぬかるんでいたりするので普通車ではちょっと無理そうです。

しかし,山仕事か高速道路管理関係のの軽トラらしきわだちも近くまで入っています。植林地帯でもあるので思ったより藪は薄いです。

仏坂隧道05 

薄暗い切通に入る手前から,隧道が口をあけているのが見えます。
切通は,倒木や土砂の流入で転石も多く荒れていますが,日陰になっているため,藪がはびこっていないのが幸運でした。

幅員高さともそれなりにありまして,現役当時は普通車でもなんとか通れたのではないでしょうか。

仏坂隧道05 
坑口のアップです。

補強や坑門工はまったくない,岩に穴を開けただけの完全素掘り隧道です。
しかし,坑門が大きく崩れた,様な形跡はありませんでした。岩盤のしっかりした場所を選んで建設されたのでしょう。
入り口付近は,坑門の上部や両側の斜面から落ちてきた土砂で埋もれています。

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